悲しみのゲムール

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ジョージ・オーウェル『動物農場』レビュー

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今日紹介する本は、ジョージ・オーウェルの『動物農場』

 

四本足は悪い。二本足は良い。

作品のレビューの前に、簡単に作者の紹介を。

”ジョージ・オーウェルはイギリスの作家(1903年6月25日-1950年1月21日)
代表作に『1984年』がある。(村上春樹氏の『1Q84』というタイトルの元ネタ)
彼の描いた近未来像は徹底した監視管理社会であり、一種のディストピアとして表現されている。
その世界観は多くのSF作品に影響を与えた。(オーウェリアン、Orwellian)”

作者自身も従軍経験があり、又、その際に負傷もしている。
作品にはその時の経験や世界情勢、社会主義や共産主義に対する考えや理想なども色濃く反映されている。

”動物農場のあらすじ
荘園農場という人間が管理する農場があり、そこで家畜として、働かされ、搾取されている豚や馬、その他の動物たち。
その動物たちがある日、管理者である人間を追い出し、
自分たちで共に手を取り合って、理想の農場を運営して行こうというそんなお話。”

この作品、頁数もそんなに多くなく、使われている語句もそんなに難解なものは無い。
一種の寓話として書かれたものであるから、サクッと読める。

しかし、そこに込められているメッセージや思いは深く、欲望や権力、システムというものへの問いが多分に含まれている。
発表された年が1945年であるので、世界情勢がいまだ不安定であり、社会主義や共産主義思想というものが広がっていた時代でもある。
又、大戦という忌むべき体験を経て、主義、思想の理想と現実との違い、平和というもののあり方とは何か、幸福とは一体何かを考えざるを得ない時代の作品でもある。

作中に登場するキャラクターは豚であったり、馬であったり、ネズミ、ネコと分かりやすいキャラクターたちであるが、これがまた見事に人の持つ様々な性分をデフォルメし、それぞれのキャラクターとして表現されている。
働き者の馬、皮肉屋のロバ、愚鈍なヤギ等々。
そういった大小様々なキャラクターたちが自身の特性や能力を活かし、共に農場を運営、自治し、発展していく。
その試みはとても上手く行くかの様に思えたが…。

結末がどうなるのかは読んでのお楽しみとして、興味深いのは2019年にこの作品や『1984年』を読むと、オーウェルの描いた近未来像が一層リアリティを増して、自身を取り囲んでいるという事実に気付く事である。
この辺りがさすがというべきか、外れて欲しかったというべきか。

企業はビックデータ化を推進し、広告はあなたに最適化され提供される。
マスメディアはスポンサーである企業、国家にとって都合の悪い事実をひたすらに覆い隠し、刺激の強い映像やニュースで事実そのものを忘れさせる。
国民は総番号制の名の元に管理され、スコア化される。
やがてはそのスコアに基づいて、サービスと保障、果ては就職、結婚までもが決められて行く社会。

さて、それを揺り籠から墓場まで見守ってくれる理想郷と捉えるのか、生まれ落ちたが最後、一生逃れる事の出来ない監獄と捉えるのか…。

 

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